2014年2月10日放送

MBS(毎日放送)【VOICE+】色覚検査中止で…増える就職トラブル

 今日のボイスプラスは「色覚検査」についてです。現在、ほとんどの学校で検査が行われなくなり、その結果、自分が色覚に問題があると知らない学生が増えていることで、さまざまなトラブルが生まれているといいます。
 現在、大学4年生のAさん。生まれつき色覚に問題があり普段の生活ではこんな場面もあったといいます。「授業を受けていたらチョークの色が黄色と白どっちなのか困ったし、肉が焼けてなくて赤いところがあるのに食べようとしたり」大きな不便は感じないものの色の判断に対する自信がないとAさんは話します。「絶対緑と自分では分かっているが本当に緑でいいのか、いろいろ考えてしまって自信をなくしているところがある」
 以前は小学4年生を対象に行っていた色覚検査。しかし、色覚に問題があっても日常生活に大きな支障はなく、かえって差別につながるなどとして、文科省は2002年に法改正し、検査義務をなくしたことで、ほとんどの学校で実施されなくなったのです。このため最近では色覚の問題を知らないまま、いざ学生が進路を選択する際にさまざまなトラブルが寄せられています。
 「自衛隊志望だったが色覚異常と分かり断念した」「美容専門学校を希望するがヘアカラーが区別できない」
 実際、計器の色の判断が重要になるパイロット、鑑識などの捜査過程で色の識別が必要な警察官などの職業では、色覚で就職制限を設けている場合もあります。
 そこで西宮市ではおととしから小学4年生の保護者に色覚について伝え、希望者には学校で検査するなどしています。
 「進路を決めるのにあたり、直前になって制限が加わることが実際起きている。本人が色覚の問題を自覚する、保護者も自覚する、そういう支援ができれば」
 一方で色覚に対する理解も進みつつあります。色覚に問題があると、信号機の赤と黄色の識別が難しいとされていますが、それでも簡単に判断できるようにと赤にバツ印が浮かぶ信号機も現われました。とはいえ、限定的な取り組みなのが実情です。そこで開発されたのが光の量を調整することで、色の識別ができるレンズです。自らも色覚に問題があるという足立さんが考案しました。
 「今まであきらめていた夢、あるいは職業、勉強など、このレンズを利用することで、より一層のはげみとして進んでもらえれば一番の幸せ」
 色覚に問題のある人が将来の進路に向けて早期に自分の特性を知ることも必要ですが、公共の案内表示や印刷物を見えやすい配色にするなど周囲が理解を深めることも欠かせません。