2014年12月13日 毎日新聞 くらしナビ

模擬アプリで色彩を体験



 色の感じ方は、人によって少しずつ違うことを知っていますか? 生まれつき、一般の人と違う色覚を持つ人は、日本人で男性の20人に1人、女性の500人に1人。配慮された色遣いがされていないことが原因で困ることがあります。周囲はどのような配慮をすればよいか、「色弱」の基礎知識をまとめました。【反橋希美】

「生活で混乱も」

 「色弱」は色覚異常、色覚障害とも呼ばれる人が、色遣いで不便を被っている状態のことを指す。人間の目の網膜には、赤、緑、青を感じる3種の細胞があり、この細胞が欠けていたり、一般の人と違う働き方をしたりする人がいる。赤を感じる細胞が一般と異なる「P型」色覚、緑を感じる細胞が一般と異なる「D型」色覚などがあり、同じ型でも個人差がある。
 路線図が読めず電車を間違える▽カメラの充電器のランプの色の変化が分からない??。こんな不便が生じるのは、一般の人が見分けられても、色弱者に見分けにくい色(左の図?を参照、縦同士が見分けにくい色の組み合わせ)が使われているからだ。自身も当事者のNPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」(CUDO、東京都千代田区)の伊賀公一副理事長は「生活に支障はないが、色遣いが配慮されていないために混乱を生む場合がある」と話す。

残る 進路の制限

  色弱者が、自らの色覚の特性に気付くのはいつか。2003年度に小学校で一律の色覚検査が廃止され、「進学や就職に直面するまで気付かない人が増えた」との指摘もある。日本眼科医会が10〜11年度に実施した調査では、色弱で初めて眼科を訪れた人の半数は小学生だったが、高校生も1割以上いた。
 色弱者の進学の制限はほぼないが、就職では航空、船舶、鉄道など一部で制限が残る。医会理事の宮浦徹医師は「早めに自分の色の見え方の特性を知っておくと、色が原因で起こるトラブルも避けやすい」と話す。小中学校で希望者への任意検査は可能だ。正式な診断は眼科医に良く必要があるが、検査できるか事前に問い合わせよう。

98カ国でダウンロード

  色弱者の周囲が配慮することは、右の図?にまとめた。メディアデザインや医学に詳しい研究者の浅田一憲さん(52)が開発したスマートフォンアプリ「色のシミュレータ」は98カ国で約14万件ダウンロードされた。CUDOは配色などを工夫した「カラーユニバーサルデザイン」を提唱、社会で徐々に広がっている。相談窓口はCUDO(03・6206・0678)。