2024年5月29日 読売新聞夕刊「KEY BOARD」

見え方 色々あっていい


 保育園に通う息子(2)の爪の先にはよく、青や黄色のクレヨンが詰まっている。お迎えの時に見ると「楽しく遊んだのだろう」とほっとするのに、家事で余裕がない時だと「家具に落書きしたのか」と焦ってしまう。捉え方とは不思議なものだ。
 色だって人によって見え方が違う。「色覚多様性」と言われる。赤と緑などの特定の色を識別しにくい人の割合は日本人の男性に5%、女性に0.2%いるとされるが、啓発に取り組む大阪市のNPO法人「True Colors」の高橋紀子理事長によると、そもそも人種などの違いで目の色が異なれば、その割合は変わるという。
 きょう「5月29日」も読み方を変えれば様々な記念日となる。日本記念日協会によると「こんにゃくの日」でもあり、「幸福の日」でもある。見え方は色々あっていい。互いに違いを理解して、みんなが幸福を感じられる社会となるよう、きょうも考えたい。(杉山弥生子)