小学校の先生が色覚異常の知識を学び、分かりやすい配色を授業に取り入れる試みが始まっている。かつては学校での色覚検査などが差別を助長するとされたが、色覚異常に対応した教科書も開発されるなど、学校現場で「色のバリアフリー」への意識が高まりつつある。
■十人十色
大阪市生野区の市立東桃谷小で7月下旬、教諭が色覚異常について学ぶ勉強会が開かれた。
「赤色が茶色っぽく見える」「こんなふうに見えているのか」。教諭約10人が、色覚異常を体験できるレンズをのぞくと、普段とは違う色の世界に驚きの声があがった。
講師のNPO法人「トゥルーカラーズ」(大阪市中央区)理事長・高橋紀子さん(68)が「黒板に赤いチョークで書くと見えにくい」と説明。「色の見え方は誰もが異なり、十人十色。児童が隠すことなく『見え方が違うねん』と自然に言える環境作りも大切です」
受講した相川玲教諭(24)は「授業では、便利だから色分けしたカードを多用していたけれど、今後は文字情報もつけたい」と話した。
別の市立小学校でも今春に勉強会を開いた後、板書では重要な用語を赤のチョークで書くのではなく、線で囲んで示すなど実践しているという。