2024年7月23日 朝日新聞

「マイノリティー」少なく見積もる傾向 7%が該当の性的少数者 30人中1人でもいる確率は? 新潟大研究


 性的少数者(LGBTQ+)や色覚が通常と異なる人など、いわゆる「マイノリティー」の人が身近にいる確率を、ほとんどの人は実際よりも著しく小さくとらえる傾向があることが、新潟大の新美亮輔准教授(認知心理学)の研究でわかった。「周囲にそうした人はいない」という思い込みが、理解や配慮の不足を招いている可能性も示された。

 仕事紹介サイトに登録している人を対象にオンラインでアンケートをし、18〜76歳の計429人の回答を分析した。同性や、同性と異性の両方を好きになる同性愛者と両性愛者について、日本のある大学での調査結果をもとに「大学生の7%が該当すると言われています」としたうえで、クラスなどの集団を想定し、「30人の大学生の中に同性愛者・両性愛者が1人でもいる確率は何%だと思いますか」と聞いた。
 この確率は、30人全員が同性愛者・両性愛者ではない確率の数値を、1から引くことで導ける。正解は89%と、かなり高い値だ。だが、回答で最も多かった確率は「2%」。ほかにも10%を下回るとする答えが目立ち、約9割は実際の確率よりも小さくとらえていた。

色覚異常でも

 同じように、赤っぽい色と緑っぽい色の区別がつきにくい、いわゆる色覚異常とされる人が人口の3%いるとして質問すると、実際の確率は60%なのに、最も多くの人が回答した確率は1%で、やはり9割近くの人が過小にみていた。
 色覚異常とされる人が集団に1人でもいる実際の確率を示した上で、「企業経営者は、そうした人も働きやすい職場づくりに責任をもつべきだ」などの意見への賛否を尋ねると、賛成の度合いを示す数値(100点が満点)の平均値が、確率を示す前の73.95%から79.18に上昇した。
 新美さんは「人間は確率を考えるのが苦手。集団に含まれる確率を『過小視』してしまう原因は、マイノリティーに対する偏見ではなく、こうした確率について考える経験自体がほとんどないからでは」とみる。研究結果は、認知心理学の専門誌で発表した。(田村建二)